内田 淳さん

ライフ

働きながら、さまざまな支援のもと自宅で独り暮らし

内田 淳さん Atsushi Uchida

プロフィール

  • 内田 淳(うちだあつし)さん
  • 1970 年生まれ
  • 療育手帳B1 ※1 取得
  • 2018 年6 月~ 一般就労で福祉施設の清掃の仕事に就く。
  • 勤務時間は、月~金 9:30-16:30 収入は月8 万円

これまでのこと

子どものころから勉強があまり得意ではありませんでしたが、 温和でまじめ、人当たりがよい性格で、 普通学級で友だちと仲良く過ごしてきました。中学校を卒業後、食品会社へ就職し 20 年以上勤務。ところが、会社の倒産に伴い仕事を失ってしまいました。
その頃、父が亡くなり母との二人暮らしがはじまり、なんとか、自宅のローンを返しながら、好きな電車での外出やゲームをしたりと、自由気ままに暮らしていました。その後、療育手帳を取得、「このままではいけない!」と就労移行支援事業所へ通うようになりました。そこでの作業も楽しく仲間とのコミュニケーションをとりながら順調に通 っていましたが、もともと浪費しがちでお金の管理が不得意だったこと、そして母親も高齢となり、物忘れが出始めたこともあり、日常生活の金銭管理をお手伝いする「あんしんセンター」を利用。海老名市社会福祉協議会との関わりがはじまりました。

住み慣れた家でずっと暮らしたい

2 年前のある日、あまり体調のすぐれなかった母が逝去。一人になった今後の淳さんの生活について、社協のソーシャルワーカーで本人を交えてケース会議が開かれました。淳さん自身は、住み慣れた自宅でこれからも暮らしたいという意思があったものの、住宅ローンの返済がその当時で3 年残っているのが課題でした。
これまで働いていた就労継続支援B型事業所※2の工賃は月に2万円程度。住宅ローンの返済をしながら自宅で暮らすには生活費が足りません。そこで、海老名市社協のソーシャルワーカーを通して、一般就労の清掃の仕事を紹介され、面接を受けたところ採用され、働くことになりました。
「最初は、週5 日できるか不安な気持ちもあったみたい」と海老名市社協の中島さん。でも、今の家に暮らしたいという強い気持ちがモチベーションとなり、無遅刻無欠勤で通い続けています。

内田さんが働く「あきば」職員の安藤さん(左)と海老名市社会福祉協議会ソーシャルワーカーの中島さん(右)

一般就労へのつなぎ

淳さんが新しい環境や働くことに少しずつ慣れて、自信を持てることができるように、以前の職場である、就労継続支援B型事業所「セルプビナ」の所長の白井さんが、最初の1 週間(確認)のあいだ、仕事に付き添い、一般就労へのスムーズな移行が実現しました。
仕事の流れや時間が分かりやすく書かれた紙を作り、いつも掃除道具とともに携帯して、仕事の段取りを確認できるような工夫がされています。

職場での様子

<淳さんの働きぶりについて、職員の安藤さんに伺いました>
少し人見知りなところがあって、最初は緊張していたようですが、今では、利用者さんに「自動販売機はここだよ」とか教えてくれたり、とっても面倒見がよく、コミュニケーションもとれています。嬉しかったのは、僕が夜勤がある日に「たいへんだね」と声をかけてくれたことですね。清掃道具の在庫管理もお任せしているので、無くなりそうになると教えてくれて助かっています。


広い館内を順番に回る。

一日の仕事の流れが記された紙には、休憩時間も細かく載っていました。今では、スケジュールは、頭に入っているので、ルーティーンにはまることができれば、ご本人も楽なようです。腕時計をまめに見ながら、時間を守り、清々しい表情で、仕事をこなしている姿が印象的です。
「仕事は大変だけど楽しい!一人暮らしでもなんとかやってるよ!」と笑顔で話してくれる淳さん。 当たり前のようですが、住み慣れた地域で安心して暮らせるっていいですね!

ミニインタビュー

  • Q 仕事はどうですか?楽しいですか?
  • A 自分のペースでできるのがいい。
  • Q 休みの日は何をされてますか?
  • A 電車ででかけるかな。最近行ってないけどね。相鉄線が新宿までつながったら、行こうと思ってる。

※1 療育手帳
知的に障がいのある方が、療育・援護を受けたり、各種の福祉サービスや制度の優遇を受けやすくするものです。 各都道府県・政令指定都市が発行し、知的障がい者福祉法等の規定により、A1・A2・B1・B2の4区分がある。

※2 就労継続支援B型事業所
通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う事業所のこと。